離婚するには,まず,配偶者と話し合いをする必要があります。離婚することについて合意ができましたら,離婚届を役所に提出します。
ただし,離婚届を役所に提出する前に,離婚の条件を文書に記載した方が賢明です。なぜなら,後日,離婚の条件について,トラブルが発生する可能性があるからです。
離婚の条件としては,@慰謝料,A財産分与,B親権者,C養育費,D子との面接交渉の回数,E年金分割,F婚姻費用を取り決める必要があります。
離婚の条件は,公正証書に記載するのが賢明です。
また,公正証書の中には,支払を怠ったら強制執行することができるという強制執行認諾文言を記載するべきです。強制執行認諾文言があれば,裁判をせずに,いきなり支払を怠った相手方の財産を差し押さえることがでるからです。
離婚の話し合いが自分では難しい場合には,弁護士に交渉を依頼するのが賢明です。
自分で配偶者と話し合う場合でも,話合いの過程で,弁護士に相談し,サポートを受けながら,話合いを進めるのが賢明です。
弁護士に交渉を依頼するべき場合は,@相手方が離婚を拒否している場合,A相手方が要求する離婚の条件が相場よりも遥かに高額な場合,B相手方がDV(ドメスティック・バイオレンス)をする場合,C別居している場合です。
十分に話し合いをしても離婚できない場合には,家庭裁判所に離婚調停の申立をします。調停前置主義が家事事件手続法で定められているため,離婚は,いきなり裁判をすることはできず,まず,調停を申し立てて,調停が不成立になった後で,離婚の裁判ができることになっています。
離婚調停では,調停委員2名が申立人と相手方の双方の話を聞き,お互いが譲歩し,和解が成立するように促します。調停は,月1回のペースで,1回当たり,2時間程度の時間がかかります。調停は,一方が調停委員と話をし,その間,他方は,待合室で待ち,一方の話が終われば,交代して,調停委員と話をするという方式で行われます。調停では,調停委員が間に入って,一方の話を他方に伝えますので,感情的な対立を防ぐ効果があります。申立人と相手方が合意をし,調停が成立すると,調停調書が作成されます。調停調書は,確定した判決と同一の効力があります。
調停で合意に至らなかった場合は,調停が不成立となって終了します。
調停が不成立になったら,家庭裁判所に訴状を提出して離婚の裁判をすることができます。
離婚の裁判では,訴状に離婚の事由などを具体的かつ詳細に記載する必要があります。
裁判では,裁判官が関与した上で和解をする場合もあります。和解が成立すると和解調書が作成されます。和解調書にも確定した判決と同一の効力があります。 裁判官は,判決の見通しを示唆し,和解を強く勧告することがあります。その場合,和解が成立する可能性が高いです。
裁判の中でも和解ができなかった場合は,判決が宣告され,離婚の可否,離婚の条件について,最終的に白黒はっきりする結果が出ます。判決が宣告されると,判決正本が作成されます。
判決に不服がある場合は,控訴し,もう一度,裁判をすることができます。原告・被告の両方が判決正本を受領してから2週間以内に控訴しないときは,判決が確定します。