相手が離婚に同意してくれれば,離婚原因について,相手と争う必要性はありません。しかし,相手が離婚に同意してくれなければ,離婚原因の存在を主張し,証明する必要が出てきます。
民法770条は,離婚原因として,5つの原因を挙げています。
@ 配偶者に不貞な行為があったとき
不貞行為とは,異性と性交をすることです。
A 配偶者から悪意で遺棄されたとき
悪意で遺棄するとは,別居し,婚姻費用を負担しないことです。
B 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
C 配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込みがないとき
D その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
婚姻を継続し難い重大な事由としては,暴行,重大な侮辱,不就労,浪費,借金,犯罪,病気,障害,反社会的活動,宗教,親族との紛争,異常な性癖,長期間の別居等について,著しい程度に達していることが考えられます。
長期間の別居については,裁判例では,6年間の別居で離婚が認められた例もある一方,8年間の別居でも離婚が認められなかった例もあります。長期間の別居の他に,@20歳未満の子がいないこと,A離婚を拒否する者に安定した収入があること,B離婚を望む方が誠意ある財産分与の提案をしたこと等の事情も加味して,離婚が認められるかが判断されます。