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外国人雇用

賃金算定を明らかに 控除の取扱なども説明

   企業は,経済の国際化や少子高齢化が進行する日本社会の現状から,外国人を雇用する必要が生じています。外国人を雇用する場合は,@コンプライアンスを守ること及びAトラブルの発生を防止することが必要です。

   企業は,外国人労働者を雇う場合,外国人が,就労の認められる在留資格を取得していることを確認しなければなりません。在留資格は,旅券,外国人登録証明書,就労資格証明書などで確認します。さらに,企業は,外国人を在留資格の範囲内で認められた在留期間内でのみ雇用しなければなりません。

   事業活動に関し,外国人に不法就労活動をさせた者は,3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し,又はこれを併科するとされています(出入国管理及び難民認定法73条の2第1項)。さらに,行為者のみならず,法人に対しても罰金刑が科せられます(同法76条の2)。

 外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針(以下,「指針」という。)(平成19年8月3日,厚生労働省告示第276号)は,事業主が講ずべき措置について定めています。以下,指針の要点を記載します。@事業主は,外国人労働者について,労働基準法,最低賃金法,労働安全衛生法,労働者災害補償保険法,雇用保険法,健康保険法,厚生年金保険法などを遵守すること。A外国人労働者を募集するときは,採用後に従事すべき業務の内容及び賃金,労働時間,就業の場所,労働契約の期間,労働・社会保険関係の法令の適用について,その内容を明らかにした書面の交付等により明示すること。Bあらかじめ,当該外国人が,採用後に従事すべき業務について,在留資格上,従事することが認められていることを確認すること。C労働者の国籍を理由として,賃金,労働時間その他の労働条件について,差別的な取り扱いをしてはならないこと(労働基準法3条)。D労働契約の締結に際し,賃金,労働時間等主要な労働条件について,当該外国人労働者が理解できるようその内容を明らかにした書面を交付すること。E賃金の決定,計算及び支払の方法等はもとより,これに関連する事項として,税金,労働・社会保険料,労使協定に基づく賃金の一部控除の取扱いについても外国人労働者が理解できるよう説明し,当該外国人労働者に実際に支給する額が明らかとなるよう努めること。F法定労働時間の遵守,週休日の確保をはじめ適正な労働時間管理を行うこと。G労働基準法,労働安全衛生法等関係法令の定めるところによりその内容について周知を行うこと。H労働者名簿及び賃金台帳を調製すること(労働基準法107条,108条)。I外国人労働者の旅券等を保管しないようにすること。J安全衛生教育を実施するに当たっては,当該外国人労働者がその内容を理解できる方法により行うこと。K健康診断,健康指導,健康相談を実施すること。L雇用保険,労災保険,健康保険,厚生年金保険に係る法令の内容及び保険給付に係る請求手続等について,雇入れ時に外国人労働者が理解できるよう説明を行うこと。M適切な人事管理,教育訓練,福利厚生をすること。N事業主は,外国人労働者の雇用状況を公共職業安定所の長に届け出ること。O外国人労働者を常時10人以上雇用するときは,人事課長等を雇用労務責任者として選任すること。

 外国人も労働者として,企業の貴重な戦力になりますから,法令を遵守することに注意しつつ,積極的に雇用するべきです。