退職勧奨の基本は, 知識, 意志, 技術 です。
知識
会社が退職勧奨をすること自体は,目的または手段が違法でない限り,自由です。
退職勧奨は,退職合意という契約締結の申し込みです。
退職勧奨は,退職合意を目指しますが,退職合意とは,法律的には,会社からの「退職してほしい」という申し込みと労働者の「承諾」によって成立する契約です。
退職合意は,契約にすぎませんから,契約自由の原則により,労働者は,退職勧奨を「断る自由」があります。また,退職合意をする前には,パッケージ,退職日,最終出社日などの「条件を交渉すること」も可能です。ネゴシエイション(交渉)は,外資系企業のカルチャー(文化)です。
労働契約法3条1項は,「労働契約は,労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し,又は変更すべきものとする。」と定めています。したがって,労働者と会社は,本来,対等な立場で退職条件を交渉するべきです。
しかし,現実的には,労働者は,業務命令を受ける立場も併存しているため,労働者本人が交渉することは劣勢になる可能性が大きいです。
さらに,会社は,@人事担当者が退職勧奨の経験が労働者よりも格段に豊富であること,A複数名で労働者と交渉するという有利な立場をとれること,B会社は,労働者の個人情報,業務成績を把握しているため,労働者は,心理的に圧力を受ける可能性があること,Cミーティングに呼ばない,仕事を与えない,等の嫌がらせ,または,苛めをして退職を迫る可能性があること,DPIP,配置転換,解雇などのブラフ(ハッタリ)をして,心理的に圧力を加える可能性があること,EPIP,配置転換,解雇を実行する可能性があること,等のパワーを持っています。
そこで,会社とのパワーバランス(力の均衡)を回復するために,労働者は,弁護士を交渉代理人にすることがベターです。
意志
退職勧奨では,会社は,労働者の「心を折ること」を狙っています。労働者が心を折られないためには,「納得できるパッケージ等の条件を得られるまでは,退職しない」というファイティング・スピリット(精神力)が必要です。しかも,労働者は,会社の心理的圧力によって,適応障害,抑うつ状態,うつ病になるリスクがあります。そこで,労働者のメンタルヘルス(心の健康)を守るためにも,労働者は,弁護士を交渉代理人にすることがベターです。弁護士は,退職勧奨は,パッケージを多く獲得するチャンスであると捉え,労働者を励ましつつ,会社とのパッケージ交渉に臨みます。
技術
交渉は,労働基準法,労働契約法などの法律,判例の知識をベースにした上で,交渉理論,交渉術,交渉経験,ノウハウに基づいて行う必要があります。交渉における技術的な側面では,労働者は圧倒的に不利です。弁護士を交渉代理人にすることがベターです。
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