突然始まる退職勧奨に、備える!
退職勧奨される前に,心の準備をした方がよいです。
なぜなら,外資系企業では,突然,退職勧奨が始まることが多いからです。
- 会議室にメモ用紙とボールペンを持参し,会社の発言を正確にメモするように準備するべきです。会社の発言をメモすることにより,冷静に応答することができるからです。
- 退職勧奨では,感情的発言をしないように注意し,淡々と会社の言い分を聞くのみという姿勢が必要です。会社から提案があれば,書面を要求するべきです。決断を求められたら,その場で決断をせずに,後日,回答するというスタンスをとるべきです。
- 人事部長と直属の上司など,2対1で面談を要請されることがあります。2対1でも,心理的に劣勢になってはなりません。なぜなら,退職勧奨は,「会社が退職して下さい」というお願いする場だからです。労働者は,退職する義務はありませんから,退職したくなければ,平然と「断ります」と言えば足ります。
- 会社は,「ポジション・クローズだ。他にポジションはない。退職するしか選択肢はない。」と言って,退職に同意させるように,強く説得することがあります。退職したくなければ,「ポジションは,あるはずです。ポジションがないとしても,会社がポジションを作ればよいと思います。」と言えば足ります。
- 会社は,「パフォーマンスが悪い。」と言って,退職を迫ることがあります。しかし,「パフォーマンスが悪い」という評価が誤っているのでしたら,「パフォーマンスが悪いことはありません。具体的事実を書いた書面を下さい。」と言って,退職勧奨の前提について,議論をする必要があります。
- 会社は,「取引先や部下から苦情が来ている。」と言って,退職を迫ることがあります。しかし,苦情の存在に思い当たることがないのでしたら,「苦情があるとは信じられません。具体的事実を書いた書面を下さい。」と言って,退職勧奨の前提について,議論する必要があります。
- パフォーマンスの悪さ,取引先や部下からの苦情があった場合でも,退職したくなければ,「退職しなければならないほどの重大な問題ですか。」と言えば足ります。
「再就職支援サービスを提供するから,退職しても心配はない。」と言って,退職を迫ることがあります。退職したくなければ,「退職しませんから,再就職支援サービスは,必要ないです。」と言えば足ります。
- 「今すぐ退職合意書に署名してほしい。」と言って退職を迫ることがあります。しかし,条件に納得できないならば,「今日は,署名できません。退職合意書の書面を持ち帰って考えます。」と言って,書面を持ち帰り,弁護士に相談するべきです。
- 「退職しなければ,解雇せざるを得ない。」と言って,退職を迫ることがあります。解雇が有効になるほどの客観的に合理的な理由と社会的相当性があるのか,疑問に思えるのでしたら,「解雇理由は何ですか。就業規則の何条何項に該当するのですか。」と質問するべきです。さらに,私は,「解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,無効とする。」という労働契約法16条を知っていますと伝えるべきです。
- 「パッケージ(特別退職金)は,いくらなら,退職してくれるのか。」と質問されることもあります。条件次第で退職してもよい場合でも,労働者からは,希望額を言うべきではありません。なぜなら,一旦,述べた希望額をスタートラインとして,条件交渉の過程で,労働者は,譲歩をすることになるからです。また,労働者の中には,遠慮して,欲しい金額の提案をできない人もいるからです。交渉は,経験値が重要です。交渉のプロである弁護士に交渉を依頼することをお勧めします。