<内容証明郵便>
残業代を請求する方法としては,
弁護士に依頼して,内容証明郵便で残業代を請求し,会社が直ちに支払うという態度を示さない場合は,労働審判の申立をするのがベストです。
労働審判では,3カ月で,早期に解決することが可能です。もっとも,最初から訴訟をするという選択肢もあります。訴訟をすれば,判決まで1年以上かかることがありますが,付加金が認められ労働者に支払われる額が2倍になることがあります。
残業代は,2年間請求しないと時効で消滅します。すなわち,現在から遡って2年分しか請求できません。内容証明郵便,配達証明付で請求しておけば,時効の完成を6カ月間遅らせることができます。その6カ月間に,労働審判申立をすれば,現在請求可能な分について,時効で消滅することを防げます。
<請求のタイミング>
残業代を請求するタイミングは,会社を退職と同時に,内容証明郵便で請求するのがよいでしょう。会社を退職した後の場合でも,時効で請求できる金額が毎月,減っていきますので,できる限り早く残業代を請求するべきです。
他の従業員が残業代を請求した結果,会社が残業代を支払い,会社に資金的な余裕がなくなってしまうことがあります。したがって,他の従業員よりも先に残業代を請求するべきです。
会社から退職勧奨をされている場合は,会社を退職する前に,内容証明郵便で残業代を請求するべきです。なぜなら,退職勧奨についての示談交渉において,従業員に有利になるからです。
<証拠>
出勤時刻,退勤時刻のタイムカードのコピーがあれば,よいですが,仮に,タイムカードのコピーがなくても,自分の記憶に基づき,概算で残業代を請求することも可能です。会社が出勤時刻,退勤時刻を開示することもあります。会社も出勤時刻や退勤時刻を把握していない場合においても,裁判官の勧告により,合理的な内容の和解が成立する可能性が高いです。
会社にタイムカードがない場合は,毎日,大学ノートに,ボールペンで,出勤時刻,退勤時刻,その日の業務内容を記録して証拠を作るべきです。労働者がタイムカードのコピーを持っていなくても,労働審判や裁判になれば,裁判官の勧告により,会社がタイムカードのコピーを提出することもあります。タイムカードがなく,会社も出勤時刻や退勤時刻を把握していない場合においても,裁判官の勧告により,合理的な内容の和解が成立する可能性もあります。